ご意見・ご質問箱


   
   第4回 「ご意見・ご質問箱」

 
経営環境の変化に自社を適応されるには?
(山口県、45才男性)
 私は製造業の社長です。激変する経営環境の変化に自社を適応させることの重要さは認識しているつもりですが、具体的にどのようにすればよいのかが分かりません。これについての成功事例などがあれば教えていただきたいと思います。

 
 
成功する「環境適応戦略」!!
(龍馬社長大学学長、奴田原惇郎)

 私は、この経営環境の変化に自社を適応させる戦略を「環境適応戦略」と呼んでいます。それでは実際に成功した「環境適応戦略」の具体例を次に示します。 

1.H社(「同業種の特殊分野に参入」して成功した建設業の事例)
〈図参照〉

2.「環境適応戦略」を成功させるための法則
 ここで重要な点は、@将来の環境変化を予想して、成長分野(仕事や需要が増える分野)を洞察し、A自社の技術力などの経営資源をその成長分野に持っていったことです。
 これが成功する「環境適応戦略」です。いくら大企業といえども、この戦略無くして今後の発展はあり得ません。これを参考にして、是非とも成功する「環境適応戦略」の策定を実践してください。

「環境適応戦略」策定表
1.H社(「同業種の特殊分野に参入」して
                成功した建設業の事例)
自社の現状認識 当社は採算の悪い下請け工事のみである。同業他社と競合しない高圧送電線の鉄塔工事に参入するが、やはり採算はよくない。
下請けで儲かる仕事(高採算の工事)はないかと考える。
現在および将来予測される環境の変化 将来は四国に高速道路が建設される日がきっと来る。四国は山が多く、四国の高速道路はトンネル工事と橋梁工事が中心となり、この仕事(工事)がきっと増加する。
経営環境の変化への自社の適応対策など トンネル工事は当社には技術的にリスクが多い。橋梁工事も特殊技術が要するが、橋梁の深礎工事(橋の下のたて穴工事)には、競合する同業他社がなく、技術力アップにより、参入可能である。リスクとしては次の事が考えられる。この深礎工事には、特殊な建設機械が必要であり、この設備資金を四国内の深礎工事のみで回収できるかが不安。このリスクを解消するためには四国外へも進出すればよい。山が多いのは(四国に限ったことではなく)日本全国である。
策定・実行した環境適応戦略 この深礎工事の増加という経営環境の変化に適応するため、この工事の勉強をして技術力アップに努め、深礎工事に参入する
成果 予想通り競合する他社はなく、見積金額通りでの受注に成功。実績ができてからは営業力が不要。利益の急増。結果的に四国の高速道路だけで設備資金を回収。下請けで儲かる仕事(工事)の受注に成功