ご意見・ご質問箱


 
 
  
   第20回 「ご意見・ご質問箱」

社長に向いている人間とは?
(佐賀県 39歳・男性)
 
 私は、父の会社を引き継いだ二代目社長です。
 
最近「自分は社長に向いてないのではないか?」と夜も眠れなくなり真剣に悩んでいます。
  
 
 
長は自分の弱点を知れ
(龍馬社長大学学長、奴田原惇郎)

 
ご質問ありがとうございました。
 
社長はたいへんな激務です。ほかの役員とは比べものになりません。
 専務や常務の時は、経営の最終判断は社長に任せておけばよかったのですが、社長になればすべて自分自身で判断することになります。
 ナンバーワンとナンバーツーでは月とスッポンぐらい異なります。
 ただ、これは実際に社長を経験した人でないと、わかりません。
 私も小さな会社の社長ですから、あなたの気持ちはいやというほどわかります。

 企業活動は、営業、総務、経理、人事、生産、販売、仕入れなど広範囲にわたり、しかもそれぞれが非常に奥が深く、また常に変化するのです。
 いくら頭の良い素晴らしい社長でも、すべてを熟知・実行することは不可能です。

 
社長は「手助けがないと、やっていけない」ということです。
 
 ホンダの創業者、本田宗一郎氏は技術者としては卓越した能力を持っていましたが、財務や人をまとめる力には、あまり恵まれていなかったようです。
 そこで彼は経営と財務に明るい藤沢武夫氏に実印を預け、決済などには一切タッチしませんでした。
 本田氏のこの器が世界のホンダをつくったのです。

 
つまり、社長はまず自分の弱点を知り、それを補ってくれる補佐役やブレーンをつくることです。
 この人材は社内でも社外でもかまいません。
 そのうえ、彼らの諫言(かんげん)を受け入れることができるように努力・修養することです。


 「天は二物を与えず」です。
 どんな人間でも弱い点が必ずあり、恥ずかしいことではありません。

 社長の弱点は有能なブレーンやスタッフの登用でカバーすることが可能です。
 あなたもまず「自分の弱点を知り」、それをカバーしてくれるブレーンや補佐役をつくってください。
 そのうえで「他人の進言を聞こうとする姿勢」があれば、素晴らしい社長になれる可能性大です。
 これができれば自分の弱点が(補佐役やブレーン以外の)他人には見えなくなります。
 
ただ、誤ったブレーンや補佐役をつくると大変です。
 よく見極めてください。