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第23回 「ご意見・ご質問箱」
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他人の進言を受け入れる際の留意点は?
(鹿児島県 43歳・男性)
私は中小企業の専務取締役です。
現在は叔父が社長で、次期社長には私が就任する予定です。
「経営者は他人の進言を受け入れる『度量』が必要である」と言われていますが、私はこのことが経営者としての最重要事項だと考えています。
留意点をご教授ください。
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「相談相手」を間違えてはいけません。
(龍馬社長大学学長、奴田原惇郎)
ご質問のとおり、経営者には他人の進言を受け入れる「度量」が絶対に必要です。
しかし、せっかくの他人に進言を受け入れても、誤った進言を受け入れては、それは大変まずい結果となってしまいます。
私の20数年の実体験からは、衰退または倒産した企業の社長の共通点として、「相談相手を間違えている社長」と「誤った進言を受け入れている社長」が非常に多いのです。
倒産した企業の社長は、実にその100%が、誤った進言を受け入れて倒産したのです。
全ては紹介できませんが、次のような事例があります。
税理士以外の人に相談し、税金を余分に支払った社長
これは改正税法(土地を売った場合の税金が従来の半分になる改正)の施行日のなんと1日前に土地を売ったために、何千万円も損をした事例です。
相談を受けた方は税金について非常に詳しい方だったのですが、残念なことに改正税法の施行日を知らなかったのです。
もしも1日後に売っていれば、何千万円も税金が少なくなっていたのです。
社長が同業者の進言を受け入れ倒産した企業
この社長は、過去に成功した同業他社の社長に何事も相談していましたが、次の2点について大変大きな過ちを犯しています。
一つは、同業者は商圏が競合するため、自社の成功要因を話すわけがないし、また親身になって考えてくれるはずがないのです。
なぜならば狭い市場で競合している同業他社を発展させれば、自社は当然に衰退するからです。
二つ目は、環境の変化(時代背景)を考えていないことです。
この同業他社は今では一応成功している企業です。
しかし、同業他社が成功したのは、もののない時代であって、品物さえ揃えれば売れた時代なのです。
現在は飽食の時代であり、物があり余っています。
環境(時代背景)が全く異なっているのです。
この同業他社が成功した経営戦略(環境適応戦略)」では、現在での成功はないのです。
相談相手を間違え、衰退・倒産した事例
@ 仕入先に相談して、仕入代金の支払条件が厳しくなった
A 得意先に相談したら、得意先が不安がってあまり買ってくれなくなった
B 銀行に相談したら、融資を受けられなくなった
これらは全て、相談相手を間違っています。
日本のほとんどの銀行が経営相談を実施していますが、何のためにしているのか、私には全く理解できません。
例えば「わが社は社員が働かなくて困っている」とか、「売り上げがどんどん落ちてきて、このままではもう駄目だ」とか、企業が本当に困っていることを銀行に相談できるわけがありません。
もしも、銀行に本当のことを話したら、即刻融資を受けられなくなるからです。
以上のように、相談相手を間違えたため、または誤った進言を受け入れたために倒産した企業が非常に多いのが現実です。
人間には失敗がつき物です。
しかし、企業経営には、絶対にしてはいけない失敗があります。
そのためにも、あなたの身になって考えてくれる「よき相談相手」をつくってください。
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