龍馬の独り言



第18回 「歌舞伎の世襲制は、
        歌舞伎を駄目にする?」


  あしは以前から疑問に思うちゅうことがあるぜよ。
  そりゃあ歌舞伎の世襲制じゃ。
  つまり、歌舞伎役者の子供は、素質があろうとなかろうと、歌舞伎役者になるろーがよ。
  本人の意志にかかわらず、子供の時から(嫌々)練習をさせられて、何と可哀想なことじゃろうのーし。
  これが大問題じゃ。
  歌舞伎役者に向いていない子供達が、後を継いじゅう可能性が大いにあるぜよ。

  例えば、スポーツの場合は、親がプロ野球の花形選手やきと言うて、その子供がそうとは限らんぜよ。
  プロ野球の超スターじゃった長島茂雄さんの長男である長島一茂さんは、一応、プロ野球選手にゃなったけんど、結果はレギュラーにも慣れざったぜよ。
  プロ野球で三冠王にも輝いた野村克也さんの息子である克則さんもしかりじゃ。
  この克則さんは今、巨人の二軍に在籍しちゅうけんど、レギュラーどころか、一軍にも上がれんぜよ。
  このように、スポーツ選手は親が素晴しい選手やったきと言うて、子供がそうとは限らんぜよ。

  タレントには、親がスターで子供もスターじゃという人は存在する。
  例えば、堺正章さんじゃ。
  この堺正章さんはひょっとすると親よりもタレントとしての素質があるかも知れんぜよ。
 (こりゃあ、あしが勝手に思っちゅうことやきのーし。)
  けんど、両親が超スターじゃった勝新太郎さん(故人)と中村玉緒さんの子供である俳優の雁龍太郎さんは、てっきり芽が出んぜよ。
  名前さえも知らん人が多いことじゃろう。

  こりゃあ、幾ら親が超スターじゃっても、スポーツ選手やタレント等は、親の名前ばあで、その子供が跡を継げるとは限らんということを表しちゅうぜよ。
  ここで間違いなく言えることは、何事でも「親が素質があるから、子供も素質があるとは限らん」と言うことじゃ。
 堺正章さんのように親よりも素質がある人もおるかも知れんけんど、そゃあごくマレやきに・・・。

  ・・・と言うことは、世襲制を取っちゅう歌舞伎は、素質がない子供が後を継いじゅう可能性が多々あるということじゃろうのーし。
  つまり、世襲制を長いこと続けゆうと、その中にゃ素質のない子供がいて、観客はこれらの素質のない子供らあの、下手な歌舞伎を見せられゆうことになる。
  これじゃー観客はたまらんぜよ。
  ここで認識出来ることは、「現在の歌舞伎役者よりも素質のある者は、この日本にゃ数多く存在する。」と言うことじゃ。
  しかしながら、これらの素質のある者に後を継がさんづく、素質のない自分の子供らあに(世襲制で)後を継がせゆうがぜよ。
  こりゃあ、このままの世襲制を続けゆうと、段々と素質のない子供らあの跡継ぎが多くなり、終いにゃ、観客はえずい歌舞伎を見せられることになる。

  つまり、これらを喜んで見ゆう観客はまことに可哀想じゃ。
  歌舞伎関係者は、早うこのことに気づいて欲しいぜよ。
  そうでないと、今後は必ずや歌舞伎離れが起こることじゃろう。
  この歌舞伎離れが起こる前に、早く手を打つ必要があるぜよ。
  少のうても歌舞伎を日本の文化と考えるのなら
・・・。


  ちなみに、企業経営者も、素質のない子供らあが後を継ぐことは多々あるけんど、この場合にゃ、(結果は)企業倒産によって自然淘汰されるぜよ。
  つまり、こがな素質のない子供らあが後継者になった場合にゃ、倒産によって自然淘汰され、これらの企業はこの世の中から消えていくぜよ。
  けんど、歌舞伎らあはどうじゃろうのう・・・。
  下手のままで残るがかよ?
  これじゃー観客はたまらんぜよ・・・。
  このことは歌舞伎に限らず、能や狂言等にも言えることぜよ。