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第2回 ペイオフにおいて
    「当座預金と借入金は相殺できるのか?」


 ペイオフが、平成14年4月からスタートする。
 このペイオフ即ち預金保険制度は、金融機関が破たんした場合に、預金の元本1,000万円迄とその利息を保険金の支払限度額とする制度である。
 先ず、来年4月から定期預金や定期積金等の定期性預金が対象となり、平成15年4月から当座預金や普通預金等の流動性(決済性)預金が対象となる。
 預金のうち、元本1,000万円を超える部分については、破たんした金融機関の破たん時の財産の状況等に応じて支払われるので、その一部がカットされる可能性が大である。
 どのくらい戻ってくるかは、実際にやってみないと分からない。
 つまり、言い換えると一預金者一金融機関当たり、元本1,000万円迄なら全額保護されて安心だということである。

 最近、このペイオフについて某銀行の某支店に質問をすると、次のパンフレットを持ってきてくれた。


 「預金規定の改定について」

ペイオフに係る
お客様からの
お申出による
  ご預金と借入金等の相殺



 これは、何のことか非常に分かりづらいが、預金をしている銀行からの借入金等がある場合に、銀行が定期預金等の規定の見直しをして、「満期が来ていない定期預金等とその銀行からの借入金等の債務とを相殺できるようになりました。」との案内である。
 このパンフレットを見ると、借入金等と相殺できる「主な預金」が書いてある。
 ところが、この「該当する主な預金」の中に、当座預金が書かれていないのだ。

 不思議に思い、某銀行の某支店に問い合わせをした。
 すると、担当者が上司KD氏を伴って説明に来てくれた。
 いろいろ質問をしたが、その殆どが「分かりません。」との返事。
 これでは何のために来たのか分からない。
 ただ、このKD氏がはっきりと言ったのは
 「当座預金は借入金とは相殺しない。」
 とのこと。
 「普通預金が相殺できるのに、なぜ当座預金は相殺でき
  ないのですか?」
 と私が尋ねる。

 約一カ月ぐらい何の返事もない。いい加減にしびれを切らし再度KD氏に尋ねると、今度は、
 「相殺するかしないかは、現在検討中である。」
 との返事。
 以前は、はっきりと「相殺しない」と言っておきながら、今度は検討中である。
 このKD氏
 「私は、相殺しないとは言わない」
 という。
 「言葉のあやだ」
 という。
 まるで食中毒で有名になった、某乳業の社長と同じ。

 しかしながら、なぜにこんなウソを言うのか?。
 このKD氏が「相殺しない」と言ったことは、私共の職員もしっかりと聞いている。
 今度は
 「普通預金が相殺できるのに、当座預金はどこが違うの
  ですか? 
  何で検討中なのですか?
  その理由は?」
 と尋ねると、その返事は案の定返ってこない。
 この銀行員には、いくら話しても無駄である。

 そこで、仕方なくこの某銀行の本部の担当者の方に、直接聞くことにした。
 この本部の担当者KW氏に電話してくれとのこと。
 KW氏に電話をすると、やはり
 「当座預金と借入金を相殺するかしないかは、現在検討
  中」
 との返事。

 自分としてはこれでは納得できない。
 そこで自分で調べることにした。
 預金保険機構のホームページを見ると、
 「当座預金、普通預金の満期のない預金等については、
  預金者の側から借入金の相殺を申し出ることによっ
  て、相殺することが可能です。」
 と書かれている。

 この某銀行の返事とはまったく異なる。
 このことを詳しく調べてみると、満期日が到来していない定期預金等は、まだ満期が来ていないので、借入金等と相殺できる状態にない。
 だから銀行側がこれを相殺できるようにするために、今回、この定期預金等の規定の改定をしたのだ。

 預金保険機構の担当者の方に電話をして聞いた。
 すると、この当座預金、普通預金と借入金等との相殺の問題は、(預金保険法の規定ではなく)、民法の問題だというのだ。
 結論は、こういういつでもお金を引き出せる当座預金や普通預金は、「借入金等とは常に相殺できる状態にあるのだ」ということ。

 このことを某銀行の本部の担当者KW氏に話すが、いくら説明しても分からない。
 分かってもらえない。
 話が全く通じない。
 このKW氏、今度は機嫌が悪くなる。
 このKW氏は(自分勝手に)私との電話を、同じ本部のKR氏に突然変わらせた。
 KR氏も、突然にびっくりしただろう。

 しかしながら、今度は話がまったく違う。
 このKR氏は、次のように言う。
 「当座預金や普通預金は、もともと民法において相殺で
  きる状態にあるのだから、あらためて規定を改定する
  必要がない。
  だから、地方銀行協会がこのことを当座勘定規定書
  に、書くか書かないかを検討中である。」
 とのこと。
 「また書くとした場合にも、どのように書くかを検討してい
  るのではないか」
 とのこと。
 私の話がようやく通じた。

 この某銀行は当初、私に大変な間違いを教えた。
 支店レベルならまだしも、本部の担当者がこのような間違いをお客さんに教えるとは、この某銀行は一体どうなっているのだ?

 しかしながら、ここでの大変な問題点は、私がここまでしつこく聞いていなかったら、今だに本当のことが聞けていないということだ。
 「私にウソを言ったまま」になっていたということである。

 私は、顧問先の方々に「某銀行は当座預金と借入金は相殺しない」と言っているので、ペイオフがスタートしたら、某銀行には当座預金の残高はおかないようにした方がよいと説明してきた。
 まだペイオフがスタートしていないから救われたものの、顧問先の方々に早く訂正の説明をしなければならないと思っている。

 二つ目のこの某銀行の問題点は、私にこれほど迄にウソを言っておきながら、この某銀行の上司は、私に誤りの電話一つないのだ。
 これだけ迷惑を掛けておきながら・・・。
 一般の企業なら、上司がすぐに飛んできて誤る。
 私は誤って欲しいとは思わないが、世間の常識だ。

 更に三つ目の問題点は、この某銀行は本部のこのような重要な部署に、KW氏のような知的レベルの低い人間をなぜに配置しているのか?ということだ。

 旧大蔵省の護送船団方式が日本の銀行を駄目にした。
 今後、銀行経営はますます厳しさを増していく。
 この某銀行のような銀行こそが、次につぶれる銀行かも知れないと・・・。
 私はふっと不安を感じる。
 ただ、この某銀行にも、「KR氏のような優秀な人材が存在すること」を、私も忘れてはならない・・・とも思う。